事故事例
「タトゥーシールで小2のほおに傷残る 販売会社を提訴」
タトゥーシールを貼ったほおに傷が残ったとして、京都府向日市の小学2年生の男児(8)が、化粧品販売会社「ドゥ・ベスト」(東京都文京区)を相手取り、約1430万円の損害賠償を求めて京都地裁に提訴した。提訴は1月18日付。
訴状によると、2017年10月、男児の母親が100円ショップでおばけの柄のシールを買い、ハロウィンパーティーに出かける前に貼ってあげた。2日後、シールをはがすとやけどのような痕が残り、皮膚科で蛍光塗料を使ったシールによる「接触皮膚炎」と診断された。
原告代理人の弁護士によると、ほおに500円玉くらいの大きさの茶色い痕が残っている。これまでシールで炎症を起こしたことはなく、はがし方にも問題はなかったという。
同社総務部は取材に、「示談に向けた話し合いをしてきたが、訴訟になり残念。シールに欠陥はなく、ほかに健康被害の報告はない。思い当たる原因もない」と話した。
(転載元:朝日新聞デジタル(2019年2月2日)より転載)
JFEAによる安全性に関する考察
2018年に消費者庁より「ハロウィン仮装用品での皮膚トラブルに注意…消費者庁が呼びかけ」も行われており、当協会でも情報発信をしておりましたたが、起こるべくして起こってしまったトラブルといえます。
手軽であるという理由から好まれがちなシール製品ですが、化学物質を多く含んだ接着剤を使用したステッカーを長時間貼ること自体、リスクが高いことは以前から指摘されています。
また、水性、油性マジック、アクリル絵具は言うまでもなく、色素沈着させる転写式のタトゥーシールや、アルコールを用いるボディペイント画材のみならず、水分を使って除去するタイプの画材を用いる場合は、除去時に色素沈着を進行させるリスクがあることを、アレルギー以上に懸念する必要があります。
また、昨今のハロウィンブームで大手量販店にも「保湿作用」を謳う製品も出てきておりますが、これらは「薬事法違反」製品となりますのでご注意ください。
アレルギー情報など、自身の肌に使う場合は、資材の選択は自己責任の範疇と考えることができますが、イベントにおいては、運営責任者あるいは運営会社が資材を選択した責任を負うため、メーカーが有するPL保険(製造物責任保険)の範疇ではない、運営責任義務が生じると考えられ、資材の正しい知識や、万が一の対処方法などを熟知したスタッフが、事前説明とアフターフォローの説明を意識した運営が求められています。
当協会の見解と指針
お客様が異常を感じた場合の「即時除去の実効性」の担保
異常を感じなかった場合でも、生活行動の中での「自然除去性」の担保
この2点を備えた化学物質でない画材を用いること
メーカーから正しい知識と運営方法を享受できる環境があること
上記項目が、現時点で資材レベルでの最適な回避策となります。
日本フェイスペイントイベント協会では、こうした事故を未然にシミュレーションし、予め対処できる最適な画材や資材、育成モデルをメーカーとともに協同開発しています。
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