1、歴史的な大成功を収めた「ラグビーワールドカップ2019」
2019年の日本…、いえ、世界的に成功したイベントのひとつとして後世に語り継がれるであろう「ラグビーワールドカップ2019」が11月2日、南アフリカの優勝をもって閉幕致しました。
ラグビーはまだあまり馴染みのなかった日本での開催を懸念するする声もありましたが、9月の予選で日本の連日の快勝とその迫力、そして台風による災害に対する日本の精神は、日本のみならず海外からも大きく注目され、結果として高く評価される大会となりました。本大会が残したレガシー(遺産)は、スタジアムやIT技術といった産業以外にも、文化面で大きな役割を果たしたといえるでしょう。
2,もりあがったレクリエーションとして「フェイスペイント」が大きく貢献
その文化面で大きな役割を果たした要因のひとつとして、今回フェイスペイントが改めて脚光と注目をあつめ、そして評価されました。
試合会場以外では全国で16箇所のファンゾーンでのパブリックビューイングが開催され、各会場ではラグビーに馴染みのない方がその熱気を体感しようと集まり賑わいました。もともと外国人のファンが多いラグビー、国際交流もできる文化的価値の高いイベントとして連日メディアでも取り沙汰されました。
飲食以外でもりあがったブースとして、フェイスペイントがメディアなどで紹介されました。親子連れ、外国人、世代を問わずチームカラーや国旗、歌舞伎の隈取などのフェイスペイントを施し、ラグビーを応援する「ノーサイド」な文化を楽しむ雰囲気はメディアを通じ、より一層全国にわかりやすく伝わっていったのです。
3,顕在化した問題点
しかしながら、ハロウィンと時期が重なったこともあり、一方では辛辣な問題もクローズアップされました。
●画材に対する行政指導
安価なアクリル用絵具や水性絵具を使用することは問題外ですが、大会がはじまり、またハロウィンシーズンを控えた9月中旬、消費者庁より画材に対する行政指導が発表されました。量販店などでも肌用として販売されているフェイスペイント用絵具から金属成分やホルマリンなどの含有が発覚したことが発表されました。当協会にも消費者だけでなく取扱店や卸業者、イベント運営団体から問い合わせが相次ぎました。安全性を顧みない悪質な製品が出回っていることを問題視した行政指導でした。
商業上取り扱う法人・団体であればに下記を文書の開示をメーカーに求めることができます。
・SDS(Safty Data Sheat)と呼ばれる成分安全性データ
・国内パッチテスト結果
これらを有していない、あるいは提出できないメーカーの製品は基本的にリスクが高い、信頼性はありません。また海外輸入品は海外でのパッチテストのみで、日本のパッチテストを受けていないことが多く、輸入業者はメーカーとしての責任は果たすことはできず、現時点においてもおいてもリスクの高い商品が、大手量販店であっても平然と「安全」と謳われながら販売されている状況が続いています。
他にも合成樹脂による化学物質中毒を引き起こす粗悪品や、保湿効果をうたう薬事法違反商品、色素沈着リスクの高いものなどが現在でも100円ショップや量販店でも販売されています。
また、市販品を混ぜて販売している団体や個人の存在などの報告も受けており、当協会は取り扱いをされる方は方は直接メーカーへの確認を推奨しています。
●美容師法違反問題
不特定多数へのフェイスペイントをする場合、美容師法が適用されるということ自体がまだあまり認知されていません。保健所や美容院などからのなどからの通報などにより当日中止となるケースも増えていますが、今回はテレビなどで「フェイスペイントブースが人気」と報じられた直後に、「これは違法ではないのか?/どのように運営すればよいのか?」というお問い合わせが増えました。
「美容目的ではないし、楽しいし、芸術的な活動だから…」という思いから、反発しているアーティストも多いこの問題ですが、人体への安全性の確保と事故時の責任の所在を明確にすることを目的として制定されていることを考えると、むしろプロとしての責任の判断基準の欠如」と言われても仕方ありません。ペイントされる側にとっては「無責任な専門家」として映ることでしょう。
実際、確信犯やなど、悪質な場合は罰金30万円などの罰則が規定されています。
フェイスペイント自体の需要は高まっているにも関わらず、上記のようのな問題に対する実行方法の認知普及に務める必要性を当協会でも再認識した次第です。
●回転率問題
従来のフェイスペイントでは、試合前の数時間でペイントできる参加者数が限られてしまうという点も問題となりました。描く技術を持った限られたスタッフが一人に対し一人に対し5分かけてしまうと、単純計算でも、一人で1時間で合計12人しかフェイスペイントをすることができません。だからといって「フェイスシール」ではなんの味気もなく、盛り上がるどころか、写真すら撮らず満足度の向上にはつながらないという問題に直面しました。
つまり大きな集客規模を見込んだ場合、従来のフェイスペイントでは(法的な側面も含め)リスクが高く、投資対効果の低いイベントとして捉えられてもおかしくないわけです。
八方塞がりに見えるこの状況を打開したのは、昨年世界発信コンペティション/東京都革新的サービスを受賞した㈱POOLの「ミラクルペイント アンバサダープログラム」、今回のラグビーワールドカップのみならず、世界中に「ニッポンのフェイスペイント」として衝撃を与えます。
4,困難なフェイスペイントの定義を根底から覆した「しくみとしかけ」とは?
㈱POOLが受賞した「ミラクルペイントアンバサダー・プログラム」は当協会も推奨事業として認定している文化プログラムです。「しくみとしかけをデザインする」をスローガンとした事業プロデュースを行っている同社ではもともと上記のような問題を想定した、「ものづくり、イベントづくり、ひとづくり」を統合したイベントプロデュース事業を行っていたため、今回のラグビーワールドカップでの上記のような問題に対し正面から取り組むことができました。
1,資材に対する安全性
安全性証明、有害物質不使用証明書、国内パッチテストなどのすべてを持ち合わせ、かつ膨大な実績と事故の抑止性能は世界トップレベルの日本製の画材「ミラクルペイント」が採用されました。
皮膚に浸透しない、除去性に優れていることから、事後の万が一へのリスク配慮は、唯一無二の評価を受けました。
2,美容師法に対する対応
同社はメーカーであるという立場でもあるため販促を目的とした美容部員を養成することができます。現場ではガチャガチャによる画材の販売も行われ適用外での運営を可能としました。
また、保健所が指摘してくる道具の衛生管理が行える状況という視点においても、ミラクルペイントは一滴の水も使用せずに運営から衛生管理を行える、かつ汚水の排水も発生しないことから、問題視されることはありません。こうしたイベントにおけるリスクマネジメントと運営ノウハウを持ち合わせていることも同社の強みであり、、フェイスペイントブースの成立に大きく貢献したのでした。
3,回転率
アンバサダー・プログラムは誰でも簡単に安全なフェイスペイントが行え、かつ社会貢献できるスキルを身につけることができるプログラムです。当日は会場でオフィシャルボランティア8名に対し、インストラクター2名によってレクチャーを実施。わずか10分程度のレクチャーで、画材に対する知識と、対戦国のチームカラーをつかったペイント方法を習得し、ひとりあたり1分でペイントを施せるように。短時間でも満足度が高く、ユニークであること。かつ技術の差も出ないように予め計算しつくされたデザイン設計が用意されました。
パブリックビューイング会場では各会場ごとに、すでに同社のプログラムを経たフェイスペインターたちがイベントを直接受託するなどをしていましたが、同社は組織委員会本体から決勝トーナメント会場
での同プログラムの導入が決定したのです。
5,その結果、フェイスペイントがもたらしたレガシーとは?
10分ほどのレクチャーを終え、開場前の一時間ほどを活用したボランティア同士による練習をかねたスタッフペイントは、「おもてなしペイント」と呼ばれ、またたく間に大人気となりました。この噂が広まりこの行列は決勝戦まで増え続けるほどの人気となり、スポンサーブースのスタッフにも大人気となりました。8名体制で、試合開始前に100名〜200名をペイントしたそうです。
ボランティアたちはみな口を揃えて、「スイッチがはいった」「みんなでやろう」などのコミュニケーションが生まれ、チームビルディングとしての効果をわかりやすく評価・表現したそうです。
試合開始前の3時間前、会場がオープンすると観戦客は一斉にフェイスペイントブースへ。
無料ということもあり、わずか数分後には長い行列ができ、他のスポンサーブースを圧倒する人気ブースとなりました。しかし[1人1分×8名体制]で迎えることのできるこのミラクルペイントによるフェイスペイントブースは、驚きの回転率で長い長蛇を最大30分程度で消化することのできる「速さ」を見せつけました。
つい1時間前までフェイスペイントなどやったことのないおばあちゃんペインターが、テンポよく指だけでペイントし、「できましたよー!」と日本語で声をかけると、
「楽しい!」
「最高!」
「パーフェクト!」
「本当にはじめてなの?すごい!」
と最高このような評価を外国人から
「待ち時間が想像以上に短くて驚いた!日本のフェイスペイントはすごい!」
「水も汚さずに、土にも還る素材だなんて素敵過ぎる!」
と最大級の評価。
その数、全8試合日で合計12,000名以上。
1日平均すると、たった3時間1500名をたったの8人でこなしたことになります。
ボランティアも合わせると13,000名以上の観衆にペイントしたことになります。
その楽しげな姿は、他の観衆やテレビやSNSでの効果を考えると計り知れない投資対効果として考えることができるでしょう。
こうして「応援する文化をつくる」「ニッポンに対する新しい評価」のしくみとしかけは、このラグビーワールドカップのレガシーのひとつとして世界的な評価を受けることができました。
下記はラグビーワールドカップの公式YouTubeチャンネルです。
名物リポーターのエルマさんがフェイスペイントしたボランティアさんと一緒に会場内を紹介するとともに、ミラクルペイントをつかったフェイスペイントブースでもフェイスペインター体験をしています。
日本フェイスペイントイベント協会では、持続可能な社会を実現するために安全で楽しいフェイスペイントイベントの普及促進につながる情報を発信してゆきます。
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